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食品表示で新法制定へ、輸入材料明記など検討 政府は4日、食品の賞味期限や原産地などの表示を分かりやすくするため、食品衛生法などにまたがっている食品表示の規制を一本化し、新たに「食品表示法」(仮称)を制定する方針を固めた。 相次ぐ食品偽装などを踏まえたもので〈1〉「賞味期限」と「消費期限」に分かれている期限表示の統一〈2〉原産地表示の厳格化〈3〉虚偽の表示をした業者からの不当利益没収――などを盛り込みたい考えだ。早ければ次期臨時国会に法案を提出する方針だ。 食品表示規制の法律は、食品衛生法をはじめ、日本農林規格(JAS)法、不正競争防止法、不当景品類及び不当表示防止法、計量法の5法がある。所管も厚生労働、農水、経済産業の3省と公正取引委員会に分かれ、「縦割りで連携が不十分」との指摘が出ていた。 新法の制定は、消費者重視を掲げる福田首相の諮問機関、国民生活審議会で議論が進められている。政府は、審議会が3月末に出す答申を基に本格的な立法作業に入る。 期限表示については、弁当や総菜など品質の劣化が早いものに用いる「消費期限」と、味は損なわれるが食中毒などの可能性が低い菓子類などに用いる「賞味期限」が併存し、消費者から「分かりにくい」との指摘が根強い。審議会では、安全性に重点を置くため「消費期限」に統一する方向で議論が進められている。 産地表示をめぐっては、加工食品の原材料についても原産地を明記することを検討する。JAS法は、重さが加工食品全体の半分未満の原材料については、原産地表示を義務づけていない。中国製冷凍ギョーザの中毒問題をきっかけに、製造元「天洋食品」の製品を一部使ったレトルト食品に「中国産」の表示がないことが「消費者に重要な情報が表示されていない」などと問題視されている。 このほか、政府は偽装表示を行った業者に対し、不当に得た利益を算定し、没収する規定の導入も検討する。 (2008年2月5日 読売新聞)

また、2月8日の毎日新聞には加工食品の原料原産地表示に関する次のような記事もありました。

中国製ギョーザ:加工食品の原料原産地表示、拡大に賛否 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件を受けて、加工食品の原料原産地表示義務を広げるよう求める声が強まっている。しかし、実際には食品メーカーの負担増や貿易ルールなどの問題があり、農林水産省は今のところ表示義務の拡大に慎重だ。 事件によって「天洋食品」が製造にかかわった商品が自主回収されたが、表示に「中国」の文字がないものもかなりあった。JAS(日本農林規格)法では、最終製品に加工したのが海外なら製造国名の表示が義務づけられているが、海外で作られた半製品を原料として輸入し日本で加工した商品は、原料原産地の表示が不要な場合が大半だからだ。 現在、国内産の加工食品で原料原産地の表示義務があるのは、乾燥きのこ類、緑茶、調理した食肉など20の食品群と、漬物、カツオ削り節など4品目で、加工度が低い製品に限られている。しかも、重量の50%以上を占める原料だけが対象だ。また、海外産の加工食品は原料原産地の表示義務そのものがなく、どの国の原料なのかが分からない。 自民党の「輸入食品の安全性に関する緊急対策本部」(本部長・谷垣禎一政調会長)は1日、福田康夫首相に渡した緊急提言の中に「輸入食品(加工食品・外食用を含む)の原産地表示の抜本的強化」を盛り込んだ。 しかし、食品メーカーにとって詳しい原産地表示は大きな負担になる。「少量の原料まですべて原産地を把握するのは無理。かえって偽装を招きかねない」「原料の調達先を頻繁に変える場合は包装の切り替えが煩雑で、中小業者は対応できない」といった指摘がある。また、輸入加工食品に原産地表示を義務づけると、海外から非関税障壁だと批判される可能性が高い。 こうした事情から、若林正俊農相は5日の会見で、原産地表示の対象について「今すぐ広げることは考えていない」と述べた。 ただ、福田政権は消費者行政の重視を鮮明にしているだけに、原産地表示の拡大が浮上する可能性もある。主婦連合会の和田正江参与は「加工食品の表示には非常に不備がある。この機会にできるだけ原産地を表示してほしい。消費者にとって、命にかかわる食品を選択するには表示しかない」と話している。 【位川一郎】 毎日新聞 2008年2月7日