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赤福の不適正表示問題 食衛法とJAS法で期限表示の見解異なる < 日食 2007/10/17 日付 09897 号 01面 B >

三重県の(株)赤福の不適正表示問題で、農水省と厚労省の期限表示についての考え方が異なることが、15日までに改めてわかった。今回の問題はJAS法違法となったが、食品衛生法上では微妙だ。 赤福は同社の主力商品、赤福餅の出荷残を冷凍して必要に応じて解凍、再包装していた。再包装した日を新たな製造年月日として表示し、この日を起点として新たに消費期限の表示を行っていた。04年9月1日から07年8月31日までに総出荷量の約18%にあたる605万箱を出荷していた。605万箱のなかには、包装し終えた製品を工場内で在庫していたものと、一度店舗に配送して陳列しなかったものも含まれている。 再包装した製品に新たに消費期限を印字することがJAS法違反となった。また任意である製造年月日も消費者の誤認を招くものとした。期限表示した生鮮品を冷凍して解凍した製品に、新たに日付を表示してJAS法違反となった例はあるが、加工品では初めての判断。工場内で製造したものを期限表示などを明記して包装せずに冷凍保存していて、それを解凍した日から起算して消費期限などを明記すればJAS法に抵触しない。赤福の場合、出荷できる段階にしておいて、冷凍・解凍して再包装した点が問題となった。あたかも「作りたて」のような表示をしていて、事実誤認を招く表示を禁じたJAS法に触れた。 食品衛生法でも、安全性の面から期限表示を義務づけているが、今回のケースは一部を除いて違反ではない。JAS法と食衛法以外では不当景品類及び不当表示防止法(景表法)、不公正競争防止法に抵触する可能性がある。(伊藤哲朗)


この農水省と厚労省の見解の相違は、それ以前から問題視されていたようで、2007年10月3日付けの日本食糧新聞には次のような記事もありました。一本化され、明確に周知されることを期待したいですが、まだまだ時間がかかるように思われます。


食衛法での賞味期限表示見直し、JAS法に一本化か 厚労省が研究会立ち上げ < 日食 2007/10/03 日付 09892 号 01面 E >

厚労省は今月中にも研究会を立ち上げて、食品衛生法による賞味期限の表示制度を見直す。9月28日に立ち上げのための打ち合わせを終えた。賞味期限という言葉が衛生上の危害の発生を防止する目的の食衛法になじまず、また農水省が企業間取引での表示をJAS法で義務づける方向で動いているため、研究会は食衛法での賞味期限表示を縮小、JAS法への一本化も視野に入れて、07年度中に報告をまとめる。厚労省は報告をもとに、08年度に薬事・食品衛生審議会や食品の表示に関する共同会議に諮問する考えだ。 醤油など日持ちする食品については、消費者に販売される食品では食衛法とJAS法双方で賞味期限表示が義務づけられ、企業間取引では食衛法だけが表示を求めている。また牛乳など日持ちしない食品はJAS法、食衛法双方で消費期限表示が義務づけられ、同様に業者間取引では食衛法だけとなっている。もともと厚労省と農水省では期限表示の名称が異なっていたが、03年2月に統一した。 研究会は国立医薬品食品衛生研究所、日本食品衛生協会、厚労省食品安全部の担当者が中心となって、業界や海外の実態などについて情報を収集する。業種ごとで団体にも調査票を配布する見込み。 厚労省は、実態を把握してから制度の設計、農水省との本格的な調整に入る予定。現段階では賞味期限だけを見直し、消費期限一本化は視野に入れていない。 農水省は、ミートホープ社の牛ミンチ偽装事件を受けて6月から「食品の業者間取引の表示のあり方検討会」を設置、業者間取引での表示の義務づけを検討中だ。第5回までの会合ではJAS法でカバーできる範囲を整理し、業界の実態などを把握している。また生鮮食品と同様に産地、品種などを伝票による情報提供を義務づける意向だが、まだ検討会の方向は明確ではない。同省は食衛法がカバーしている期限表示まで検討しない考えだったが、厚労省から協議の申し入れがあった段階で情報交換していくもよう。 (伊藤哲朗)