Site Network: Home | RAS magazine | RAS_system | Company

RAS page



 

エコナ、花王がトクホ返上 消費者庁の再審査発表後 (2009年10月8日朝日新聞)

花王の食用油「エコナ クッキングオイル」に体内で発がん性物質になる恐れがある成分「グリシドール脂肪酸エステル」が含まれていた問題で、福島瑞穂・消費者担当相は8日、特定保健用食品(トクホ)表示許可の取り消しを検討するための再審査をすると発表した。91年にトクホが制度化されて以来、初の再審査の対象品となったが、花王は同日、「現在の状況を厳粛に受け止める」として、トクホの表示許可を返上する失効届を消費者庁に提出した。

対象品は「エコナ クッキングオイル」のほか関連商品計10点。すでに販売は停止している。同社が失効届を出したことで再審査は見送られる。グリシドール脂肪酸エステルの安全性は食品安全委員会が引き続き審議し、結論を出すことにしている。 同庁は問題発覚後の9月29日に「食品SOS対応プロジェクト」を設置、対応を検討してきた。7日に開かれた消費者行政を監視する第三者組織の「消費者委員会」が、速やかなトクホの許可取り消しを求める意見をまとめ、消費者団体からも対応を求める声が多く寄せられていたことで、同庁は「再審査を行うべきだ」と判断した。

失効届を提出した花王は、「消費者委員会が許可取り消しに前向きだったことを重く受け止めた」と説明。商品の販売自粛を発表した9月16日から今月4日までに同社に消費者から約18万5千件の問い合わせがあったことを挙げ、「安全性に問題はないが、失効届を出して一から出直すことにした」(広報部)と話している。今後、製造方法を変更した新商品を開発して、改めてトクホを申請する方針。再び商品化するまでには数年かかるだろうという。

福島氏は「これまで花王側は許可の取り下げはしないと主張してきたが、態度を改めた。消費者庁と消費者委員会が動かなければ、こうはならなかった」と語った。 食品問題評論家の垣田達哉氏は「花王は当初の態度を一転し、今日になってあわてて取り下げた。健康効果をうたうトクホの商品に疑問が見つかり、企業に裏切られたという感情を抱いた消費者の受け止め方に比べて、問題の重大性の認識が不足していたのではないか」と指摘している。

 

トクホ、廃止も含め見直しへ 福島・消費者担当相 2009年10月23日朝日新聞

健康によい効果がある食品を国が審査して許可する特定保健用食品(トクホ)について、福島瑞穂・消費者担当相は「果たしている役割が適切か根本的に見直したい」と述べ、トクホ制度の廃止も含めて見直す方針を明らかにした。22日夜、朝日新聞の取材に答えた。有識者や消費者団体、業界関係者による検討会を11月にも開き、10年度に本格的な制度の見直し作業に入る。

検討会の設置は、花王の食用油「エコナ クッキングオイル」に、発がん性物質に変わる可能性のある成分が多く含まれていることがわかり、同社が今月8日にトクホ表示許可の失効届を出したのを受けて決まった。

検討される内容は、(1)トクホの表示制度や取り消しを巡る消費者庁の再審査が、消費者に役立つ仕組みになっているのか(2)審議する効能や安全性の試験結果のデータを、企業自らが準備する現行の手続きが妥当か(3)「おなかの調子を整えます」「体脂肪が気になる方に」などの効能や効果の強調をうたった現行の表示のあり方は適切か、など。消費者行政を監視する第三者組織の消費者委員会の意見も聞いたうえで、見直しに着手することにしている。

福島氏は現状の制度について、「トクホは宣伝で商品の効能が強調され、本来の目的を超えた付加価値がつきすぎているのではないか。国がお墨付きを出す必要はあるのか、ゼロから見直したい」と話した。ただし、「最初から廃止ありきで考えているわけではない」とも言い、トクホの市場規模が約6800億円に上ることも考慮し、「すでに許可を受けている商品の表示を廃止することにもなり、企業への影響が大きいので慎重に考えたい」としている。

トクホは、科学的根拠もなく効能をうたう健康食品を防ぐ目的で、91年に制度が始まった。飲料やガムなど現在約890品目が許可を受け、専用のマークを付けて販売されている。健康増進法に基づく制度で、9月に所管が厚生労働省から消費者庁に移った。